三原舞依「どんな大舞台でもノーミス」の集中力で浅田真央以来の快挙

2017年3月1日

三原舞依「どんな大舞台でもノーミス」の集中力で浅田真央以来の快挙

「世界の舞台で『三原舞依はこんな選手だ』とアピールできたらいい」

4位だったショートプログラム(SP)の後にこう宣言していた三原舞依が、主要国際大会である四大陸選手権に初出場して初優勝を飾った。これはフィギュアスケート日本女子にとって2008年の浅田真央以来の快挙であり、また日本女子は四大陸選手権で10年連続の表彰台となった。

2月18日に行なわれた女子フリー。三原舞依は、欠場した「ミス・パーフェクト」宮原知子を彷彿とさせる安定感ある滑りを見せ、目標のノーミス演技を披露した。この会心の演技で、フリーはこれまでの自己最高を8.42点更新の134.34点、合計でも9.93点更新の200.85点と自己ベストをマーク。200点の大台超えは日本女子では浅田、安藤美姫、宮原に続く4人目となる。

「目標としていた200点台を出せてうれしい。自分が1位にいるのが信じられない。夢のようです」

満面の笑みを見せて初々しい言葉があふれた。

三原は2015年12月に全身の関節が痛む「若年性突発性関節炎」を発症していたことが判明。入院治療を余儀なくされ、歩くこともままならない状況で、車いす生活も経験した。氷上復帰までに約4カ月かかり、昨年春から練習を再開した。今も月1回の通院と服薬を続けながら、完治は難しいと言われる病気とうまく付き合って競技生活を続けている。

つらく苦しい時期を過ごしながらも、大好きなフィギュアスケートができるまでになったのは、自身のスケートに対する情熱もあるが、中野園子コーチをはじめとした周囲の応援があってこそと、感謝の気持ちを語る。

「周りの方たちの支えと、もう一度氷上に戻れたうれしさが、ここまで来られた原動力になっています。たくさんの支えのおかげで、私の努力だけではここの場所に来られなかったと思うので感謝しています」

首位のガブリエル・デールマン(カナダ)と1.74点差で迎えたフリーは、最終グループの2番滑走で登場。冒頭の3回転ルッツ+3回転トーループを決めると波に乗り、次々とジャンプを成功させ、「シンデレラ」のように華麗な舞を見せた。後続滑走だったSP上位3人はジャンプミスなどで三原の得点を上回ることができず、そのまま1位をキープした。

本人の喜びもさることながら、普段は厳しく叱咤激励する中野コーチも頬を緩ませて「希望としては表彰台の端っこに乗ればいいと思っていただけで、優勝は予想していなかったので、びっくりして喜びました」と振り返る。

シニアデビューの今季はグランプリシリーズに初参戦。第1戦のスケートアメリカでいきなりの表彰台(3位)に立ったほか、中国杯で4位に。代表切符をかけた全日本選手権でも3位に入る結果を残して、四大陸選手権と世界選手権の代表の座を掴んだ。

今大会は全日本女王の宮原が左股関節の疲労骨折で欠場した中で、若手の三原らの活躍に期待がかかった。初めての大きな大会で、代表としてのプレッシャーもかかる。結果を求められる重圧は相当なものだったに違いないが、三原は「世界選手権へ一緒に行くメンバーでよかったと、少しでも思ってもらえるように頑張りたかった」という意気込みで臨んでいたという。

小学3年から三原を指導する中野コーチは、愛弟子のたぐいまれな集中力に太鼓判を押す。

「本当に集中力がすごい。ここというところでは集中して、どんな大舞台でもノーミスしてきますので。だから、ノーミスの演技をしたことについては驚きではありませんでした。彼女はもとから試合が好きなんだと思います。お客さんが入ったほうが頑張れるというところがありますし、オリンピック会場ということも気にせず、応援が入ったほうが好きなようです」

その成長ぶりは得点にも表れている、フリーの技術点で自己最高得点の72.30点を出せたのは、ジャッジが彼女の滑りを認めてGOE(出来栄え点)で10点近くのプラスをつけてくれたからだ。一方、演技構成点の62.04点は4位にとどまっており、上位勢に見劣りする。表現力が課題なのは、本人も口にしている。

「世界のトップ選手と比べると、表現面とスケーティングはまだまだ。もっと上の選手を研究してスケート技術のレベルアップをして、ノーミスのレベルもさらに上げていき、もっといい点数を出せるようにしたいです。安心せず、ここからスタートだと思ってやりたい。世界選手権まであと1カ月しかないですけど、もっといいシンデレラをみなさんに見せられるように頑張りたいです」

今回のタイトルは、3月の世界選手権(ヘルシンキ)に向けて大きな弾みとなるに違いない。世界選手権は本当の意味での実力が試される場であり、採点競技における序列のトップクラス入りを果たせるかどうかもかかってくる。あくまでも挑戦者として、世界の女子フィギュア界を席巻するロシア勢に挑んでほしいところだ。


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